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Channel: 美沙都のこれでいいのか評論日記
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今年のセミ

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2019. 8. 31



今年のセミの抜け殻は、 すべてが手の届かない高い樹の枝にある。


低い場所にはひとつもない。 忙しかったりで最近は公園も行っていないが、 


どこもそんな感じだよと夫も言う。


7月の長雨で、 地面の下もずいぶんと湿ったのだろう、 そうして蝉の幼虫たちも


濡れたのだ。  濡れた体が乾くまで、 彼らは本能に従って、 一生懸命登ったのだ。


でも雨は彼らの体力も奪ったようだ。  こんなに庭が静かな夏は初めてだ。  


そうして抜け殻がついた枝よりも遥かに低い場所をよろよろと飛ぶセミたちの


姿が窓越しに見える。 暗くなってからの庭の常夜灯の下で、 何度も飛び立とうとして


落ちていくセミをたくさん見た。 何度も何度も飛び立とうとして力尽きるセミを、


エアコンで冷えた身体を温めに外に出ている志保と一緒に見た。 


生まれたところに帰ってきたのだろうか。  それともこの庭からさえも出ていく


ことができなかったのだろうか。 


来年はセミが少ないような気がする。  


きっと寂しい夏になるだろう。 


今年以上に。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

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